載りそこなった駄文。

半年くらい前の。

まあほぼほぼ軍師(兵頭氏)の受け売りなので仕様がないけど。

 

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プーチンのロシアは第三次大戦をレイアウトする

 

2/2、北欧スウェーデンにて講演を行った、NATO(北大西洋条約機構)事務総長・イェンス ストルテンベルクが同国民に発したメッセージは、極めて明瞭だった。
曰く、「ロシアとの全面戦争に備えよ。核の脅威に我々とともに対抗せよ。」
その演説以前の、1/28にはスウェーデン国内の全家庭に「有時に備える為の安全行動マニュアル」と題されたパンフレットが今春にも配布されることが決定したばかりである。※スウェーデンは未だNATOには非加盟。
北極海の巨大な氷塊の下には、現在もロシア国旗が深々と突き刺さっている。冷戦以降最高水準に達したロシア海軍の潜水艦の活動警戒レベルは、もはやこれから起こり得る「最悪の未来事態」を確定づけていると言っていい。
つまり、人類史上発の中~小規模核戦争である。
 
2014年3月のクリミア事変以降、ロシア軍は質量ともに充実したアドバンテージをもってして、東欧における、西側に勝る戦略上の優位を収めてきた。現在もクリミア半島のみならず、ウクライナ東部のドネツク・ルハンスク両州で現地住民を策動させ、中央政府への反乱をしきりに促している。
KGB大佐であり、冷戦敗北の屈辱を胸に燃やし続けるプーチンの最終目標は、その領土の広大さととともに、ユーラシア大陸のエネルギー資源/人員全てを収斂した新たな、「ロシア帝国」の創出だ。その為には世界に対して大々的な「アメリカナイズの権威喪失」を演出しなければならない。
ロシア陸軍情報部(GRU)では、複数人体制で、今や地球全土に張り巡らされたSNSのネットワークに対して、陰に陽に情報工作を行う体制が敷かれている。今や一国の、それも現代の世界を統べる超大国アメリカの長でさえその魔の手にかかる程である。※トランプ大統領のロシア・ゲート事件。
 
今次、twitterのタイムラインを流れる「呟き」の凡そ1/3が、「bot」、所謂仕込みの発言であるという。その中で彼らは露骨なまでに「アメリカの陰謀が諸悪の根源である!」と、結論を一方通行に流したりはしない。むしろ同じ量の擁護的意見を無作為に垂れ流す。そうすると、所謂「bot」対生身の人間の中で、立ち所に論争が開始されるのである。
それがどのような結果をもたらすか? これは人々に極めて精神的、かつ最も重大な、情勢を左右する心理状態を醸成する。
 
「一アメリカが支配する世界では、人々は決して一枚岩にはなれない一一・・・」
 
かつての旧ソ連は、狂信的な唯物論を掲げ、人民の心に取り入るのに失敗した。その苦い記憶は今のロシア指導部要路に重くのしかかっていることだろう。その心情を加味するに、プーチンが、このグローバル世界においてロシアが情報戦の覇者になることを懇願するようになるのも至極当たり前の話であった。
 
目を欧州の国防情勢に転じてみる。
既にバルト三国(エストニアラトビアリトアニア)とポーランドは、ロシアに対して危機意識を共有している。いわばこの4ヵ国は一心同体だ。
リトアニアバルト海、そしてポーランドに接壌した、カリーニングラードと呼ばれるロシアの飛び領には既に射程500km超の、戦術核弾頭付きミサイルが配備された。これは本質的に、1980年代終盤の米ソ間におけるINF条約(中距離核戦力撤廃条約)違反である。プーチンはそれらは全て理解している。だからこそ、「そもそも米国主導のNATO加盟国によるABM(核ミサイル迎撃システム)配備がINF条約違反なのだ」という、無茶苦茶理論を捏ね回すのだ。
しかし、長年ヨーロッパで大国の矜恃を維持してきたロシアには、大国としての近代国際法を理解する言語理性は合わせ持っている。世界の不幸の元凶であるアメリカから権威を引き剥がす為には、汚れ役を買って出てやる、というそうしたロシア独自の「美学」は、先に挙げた情報工作の拡散力と相俟って、一定以上の知識層の人間の心を眩惑するであろう。
 
スウェーデン政府は、今年から、2010年以来となる徴兵制を復活させ、NATO軍の国内軍事演習にも全面的協力を惜しまない方針を打ち出している。隣国の、元来強気な中立国であるフィンランドでさえNATO加盟を真剣に考え始めた。
もし、欧州で合戦が起きるとするならば何がその引き金になるのか?
 
古代チャイナの戦術訓とも言うべき、兵法三十六計の中に、「声東西撃」との言葉がある。読んで字の如く、東で声を挙げて敵を引き付け、逆側の西に全力で攻め込む、という奇襲の有用性を説いた格言だ。
ロシアと北朝鮮もまた陸地を接した隣国同士である以上、プーチン北朝鮮の動向を完全に無視する事は出来ない。平壌の中枢に向けて「今は待て」の姿勢を示すとともに、アメリカを最大限まで極東に釘付けにする体制が整うまで着々と情報工作と軍備拡大に勤しむことだろう。
北朝鮮のハリボテ核ミサイルが実戦配備可能となったところで、ウラル山脈を越えてモスクワやペテルブルグで閃光が炸裂することなど考えられない。むしろ困るのは北朝鮮から射程1,000km未満の距離に位置する北京擁するチャイナ政府であり、そうした枠組みもまた、
「サハリンスクは清朝以来の中国領土だ」と北京からクレームを付けられているロシアに取り、有用な間接侵略防止策となる。
 
アメリカの政治学者、フランシス・フクヤマは著作「歴史の終わり」において、自由と民主主義イデオロギーが、最終的、不可逆的な勝利を収めた冷戦終結という事態により、恒久的な世界平和の時代が現出するであろうと説いた。
それから二十年以上たった今はどうか。
我々が直面しているのは途切れる気配すらない、大国同士のリアルなパワーゲームの真っ只中に放り込まれていると言っていい。
 
計略で頭を埋め尽くされた指導者は、世界を混沌に叩き込む準備を怠らず、腐敗しきった軍閥の天下にある国家では紛争が絶えず、情報統制の敷かれたメディアが撒き散らす文言が液晶を流れ、一歩間違えれば我々の生活そのものすら危うくする選択を、自らしてしまいそうな今、共有されるべきは「歴史の終わりは、終わった」という意識なのではないか。
 
グレートゲームのキックオフの時間が、刻一刻と迫ってきているようだ。
 
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文章の左揃えが出来ん。何で?